この度、イタリアのフィレンツェにあるジュンティ出版社(GIUNTI EDITORE S.p.A.)が、
1964年から取り組んでいる「レオナルド・プロジェクト」の日本語での紹介を、
ジュンティ出版社の許諾を得て、Pheme Japanが行うことになりました。

レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿と素描について

レオナルドは、1519年5月2日に亡くなる前の4月23日に遺言書を作成します。彼は、自分の書いた文書類と所持品のいっさいを、最も信頼していた弟子のフランチェスコ・メルツィに譲るとしたためました。

メルツィは、師の文書類を貴重な財宝として遺物さながらに大切に扱ったのですが、残念なことに彼の子孫は そうではありませんでした。1570年にメルツィが亡くなると、相続人オラツィオ・メルツィは、ダ・ヴィンチの文書類には関心がなく、ヴァプリオ・ダッダ の屋敷の屋根裏にしまい込みました。そのままダ・ヴィンチの文書類は忘れられ、捨てられたも同然になってしまったのです。ほどなくダ・ヴィンチの文書類 は、ヴァプリオ・ダッダの屋敷からヨーロッパ中に散逸しはじめます。こうして、レオナルドの遺した文書類は、様々な運命の変転を経験することになります。

ヴァプリオ・ダッダの屋敷を訪れたひとりに、スペインのフェリペ2世お気に入り彫刻家レオーネ(Leone)の息子であるポンペオ・レオーニがいました。 オラツィオ・メルツィからダ・ヴィンチの研究ノートの大半を譲り受けたレオーニは、絵画のスケッチと技術的な図面を切り分けて、科学関連の文書に編集して いきました。

この結果作り出されたのが、今日、イギリス王室のコレクションとしてウィンザー城の王室図書館に収蔵されている『ウィンザー素描集』と呼ばれているもの。 もう一つは、レオナルド・ダ・ヴィンチによる機械・秘密の技術・その他のためのデッサン集:ポンペオ・レオーニ編集は、『アトランティコ手稿』と呼ばれイ タリアのミラノにあるアンブロジアーナ図書館に収蔵されています。
レオナルド・ダ・ヴィンチが書き遺した文書類は彼の死後大半は紛失し、遺された文書類は様々な形で編纂がなされ、特に『アランデル』、『アトランティコ』、『ウィンザー』は、当初とは大きく異なった形で再分割され、現存に至っています。

現存するレオナルド・ダ・ヴィンチ直筆の手稿や素描は、イタリア、フランス、スペイン、イギリス、アメリカの公私の所蔵品として保管されていますが、 500年の年月が経つうちに劣化が進み、修復はされているとはいえ劣化を防ぐために所蔵している美術館や図書館で厳重に保管されています。ごくまれな機会 を除いて、外部に出されることはありません。

ファクシミリ版について

現在、私たちが目にするものは「ファクシミリ版」といわれるものです。ファク シミリといえば、文書を送信するFaxをイメージしてしまいますが、レオナルドの手稿や素描集などで使われている「ファクシミリ版」は、 Facsimileの機械が普及する以前からヨーロッパで使われている言葉で、ファクシミリの語源は、ラテン語の「fac simile(同一のものを作れ)」facere(為す)+simile(同一)からきています。「ファクシミリ版」は、単なる量産の印刷物と一線を画する意味で用いられています。

詳しい内容は、こちらまでお問い合わせ下さい。

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